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【プロデュース空間】PARK田島

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弊社が新しくプロデュースした空間【PARK田島】。初めての自社所有物件ということで大変なこともたくさんありましたが、なんとか完成を見ることができました。

なんと言ってもこの空間の目玉は室内に閉じ込めたコンテナ。6Mのコンテナがスッポリ入っております。

 

賃貸テナント物件として作りましたが、家具や照明までプロデュースしています。過去に制作した家具や廃校の払い下げで購入した生徒会室の大机など。まるでここでの出番を待っていたかのようにすぐに馴染んでくれました。

壁や天井を塗装で仕上げる事が多い弊社ですが、今回はクロス仕上げにしました。すごく綺麗に貼っていただき、空間にピンとそそり立つ空気を感じます。だからこそでしょうか、古い家具が良い意味で浮き上がっているように見えます。

コンテナが中古で、所々にボコボコとした凹みがあり、綺麗め仕上げの空間とアンティーク家具との間の繋ぎ役のようにして全体の調和を作っています。

窓の外から室内を見ると、コンテナのワイルドさが大人し目に佇んでいるのが何となく滑稽な感じもします。世界を旅してワイルドに暮らしてきたはずなのに、こうしてちょこんと座るようにしているのを見ると、このコンテナは役目を終えてここに来たのか、それともこれからが彼の出番なのか。。その辺に感じる滑稽さなのかもしれません。

窓の向こうには桜の木があって、3月に満開を迎えた今年の桜が建設を急かしてくるような気持ちにもなりましたが、

そこからの数日、風や雨もない日が続き、桜にとってもこちらが見頃だったのかも知れないと思うほど、散らない桜がいつにない春を見せてくれました。

来年には入居者さんが、この窓に縁取られた桜を楽しんでくれたらいいなと思います。

耐震の関係でど真ん中にそびえ立つ3Mの壁をどうしたものかずっと悩み続けました。結局建物が完成した後に、仲良くさせてもらっている木工家の表さん(銘木工房ゆら木)にお願いし、合板のパッチワークを作っていただきました。

指先の神経が工具にまで繋がっているような人で、精密なだけではない何かのパワーを作品に確実に宿して行ってくれました。

 

合板のうちの一枚にレーザー彫刻で言葉を刻みました。

私、田村が大事にしている言葉。ピカソが残したと言われる一節。

「コンピューターは役に立たない。答えを与えてくれるだけだから。」

0,5mm以下の精密さにこだわり続けるなら、それは近いうちに(もうすでに?)コンピューターのお仕事になるでしょう。だからこそ神経の通った工具で、精密さが持つ危うさを暴露していただいたのです。

 

ちなみに裏面にもレーザーがしてあり、そちらには

「子供は誰でも芸術家だ。問題は、大人になっても芸術家でいられるかどうかだ。」

という意味の言葉が刻まれています。

学ぶにつれて失っていくものを大人たちは本当は知っています。それを教えたがらないのはなぜでしょう。それが問題なのです。

トイレのある壁がここから見えることに、設計段階では不安を持っていました。見えている以上は見せないといけないと思って、扉につけようと思っていたトイレの案内シールを壁に貼りました。

この壁のことを考えるために、最後までシール屋さんには変更の可能性を残していただき、ご迷惑をお掛けしました。。

外観の写真が少ないのにはカッコ悪い理由があり、、。レンズにゴミが付いている状態でたくさんの写真を撮っていたと気づいた時にはすでに後の祭り。ゴミ付きの新築写真を見せるわけにはいかなかったという。。

ゲンナリです。。あ、建物の名前はPARKにしました。ここでたくさん遊んでほしいという思いです。ネーミングのひねり具合にはいつもこだわりますが、2周くらいひねって出したシンプルさではなく、今回に限っては

「ひねらない」という答えを最初から持っていたような気がします。最も、名前を決めたのは建設最終段階で、それまでに何個もアイデアが出ました。ひねろうとしてくる脳みそに「ひねってくれるな」と何度か掛け合っての

「PARK」でございます。

できた時に「静けさの似合う空間だ」と一瞬思ったのですが、それは僕の石頭が考えたカチカチの思考だったと今はもうわかっています。この場所は賑やかな場所になります。PARKの名が持つ賑やかさを最後までひねらなかったのは

自分の凝り固まった石頭を壊したいと思っていたかも知れません。賑やかに使っていただいて、大人という非芸術家の私を笑ってほしいです。

 

照明に照明を当てると、壁に照明の影が映ります。影を照らすのも光なら、影を作るのも光の仕事です。

 

 

コンテナの中はキッチンになっています。

 

 

排水トラップまでデザインしている訳ではありませんが、このキュートな形状に対して、何も思わないわけにはいかず、写真にしてここに残しました。

 

丸い椅子は新品で揃えました。不規則性が好きだったりはしますが、大量生産型の全く同じものたちの魅力は替え難い良さがあります。11個を組み立てるのにかかった時間と1000個が流れるベルトコンベアと、どっちが早いか。

意味のありそうな比べっこをしました。

給湯室のことを【kitchenette】というそうです。知らなかった(笑)。でも使ってみたくて、使ってみました。

二つのドアがあってそれぞれ個室に繋がっています。中にある部屋は同じ大きさで建物をシンメトリーに分けています。当初はドアの位置まで左右対称にするつもりはなかったのですが、パッチワークの壁が構造上必要だと知った時に

考えを変えました。その方が壁に意味が出てくると思ったから。左右対称のものをあまり作った事がなかったので、第一選択肢には無い考えをくれたパッチワーク壁に感謝しています。

 

 

 

個室に入るとこんな感じです。

 

 

この写真にもレンズのゴミが写ってしまって、編集ソフトで消しまくったせいであちこちに不自然な跡が、、、。悔しいです。。(汗)